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 まるで海外のゴシックホラー映画のような神秘的な儀式が、我が国でも行われていた地域があるという。それは鹿児島県の離島、S島だ。筆者の知人であり、鹿児島市に住むTVディレクター・K氏は、S島に暮らす「クロ宗」と呼ばれる集団の間で伝えられてきた儀式の実態を追ってきた人物だ。

K氏 「『クロ宗』という集団は、隠れキリシタンの末裔です。『クロ』とは、クロス(十字架)が語源とされています。今から350年以上昔、江戸幕府から迫害されたキリスト教徒たちは、『島原の乱』に敗れました。そして彼らの一部は、幕府からの厳しい弾圧を逃れるため、S島に流れ着いたのです。離島ですから、幕府もそこまでは追って来ないわけです」

 安住の地を見つけた隠れキリシタンたちが、世間から孤立して暮らすうちに、キリスト教本来の教えとは異なる独自の信仰を実践する集団へと変貌を遂げたようだ。

K氏 「『クロ宗』は、外部との接触を完全に拒んだ秘密結社のような集団になったようです」
「彼らが暮らす地域は、全部で20戸ほどの小集落に過ぎません。にもかかわらず、それぞれの家が3mものブロック塀で囲まれており、実に異様で神秘的な雰囲気を醸し出しています」
「『クロ宗』信者には、様々な不思議な習わしがあったようですが、その中でも特にオカルティックなものが『死の儀式』です」

 この「死の儀式」、まさしくホラー映画のような様相であるという。

K氏 「信者が生命の危機に瀕した際、『サカヤ』と呼ばれる司祭のもとへと運ばれ、まだ息があるにもかかわらず、生き血を抜き、胆嚢を摘出したそうです。そして、"魂"を取り込むため、それらを口にしたといいます。実際、サカヤの家から出てくる遺体は、白い布でグルグル巻きにされて、その布に血が滲んでいた、という目撃者が何人もいます」

 ただしK氏は、最後に次のように付け加えた。

K氏 「『クロ宗』は今もなお受け継がれていますが、このような禁断の儀式の詳細は、決して外部に漏れることはありません。集落の住人は部外者を完全に拒み、話しかけても相手にすらされません。取材にも一切応じてくれませんよ」
「私の取材も、元『クロ宗』信者という方からの暴露情報だったり、信者ではない地元住民の言い伝えなどに限られるわけです。ですから、話が拡大解釈されている可能性もあります」
「いつかは司祭の取材をしたいですが、『クロ宗』信者には集落内での出来事を一切口外してはならないという鉄の掟があり、それを破った者は命を取られるのではないかという噂もあるくらいですので、なかなか難しいかもしれませんね」

 ちなみに、S島は古来より山岳信仰や修験道が盛んな"神秘の島"としても知られていた。「クロ宗」の噂は、戦後の芥川賞受賞作家・堀田善衛による『鬼無鬼島(キブキジマ)』の話をもとに広まったと考えられている。いつの日か、S島の謎が解き明かされる日はやってくるのだろうか――。

(深月ユリア)

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